ケルンカーニバル
2007
ケルンおばけ大行列 ドイツ国内最大のカーニバルへと。町はもう仮装した大人や大人でいっぱいだ。(つまり子供はいないってこと。)
今日は、一週間あるカーニバルの中の「ガイスターツーク(幽霊行列)」と呼ばれている、一般人が行列を作ってパレードして良い日なのだ。
一番の、見所とされている「薔薇の月曜日」などはパレードする人というのは決められた団体のみ可能なのだ。
日本の阿波踊りの連にも似ているかもしれない。
私は、なんと言っても自分で仮装をして町を練り歩きたかったのです。その為に、前日までの風邪による熱も押して、夜行列車で6時間乗り継いで来たんです。電車の到着した、ケルン中央駅で早速持って来たパンダの着ぐるみに着替え、用意は万端!
体調不良と寝不足で吐きそう。今なら、パンダだから可愛いかもね。いやいや、それは蜃気楼。
町には、日本の様に「祭りだ」と言ってははせり出すヤンキー達の姿は無い。代わわりに大人がそのヤンヤンをやっているようである。
なりきった大人達はすごい。子供の出番が無いほどなのだから。ひょっとしら、家から出ないよう言い渡されているのかもしれないよ。
顔を真っ白、真っ黒にペイントする人があれば。
制作にたっぷり一ヶ月は費やしたであろう上から下までオール手作りの仮装の人。
あぶないよっつうのに火のついた棒をまわしたり投げたりしてる人。(多分プロなんだろうけど)たまにお客さんの方に落としたりしてる。
へたくそなサンバのリズム隊。数年前に、東京の花小金井で見た大学生のサンバ隊のほうが何倍も上手かったけど。その下手なリズムにノリノリりの大人達。
思い思いの仮装で幽霊行列は進んでいく。
私だって、日本の代表として立派につとめようとパンダを着込んで鳴りものを叩きながら歩く。「え?あなた中国人?(日本人に見えるけど)」と聞かれる。そうね、確かにいつもにもまして中国人と間違われる格好してるわね私。でもねこの素晴らしい着ぐるみは日本のハンズで買ったのよ。そして私は、日本にもっと仮装やハロウィンやカーニバルを楽しむという文化を導入したい日本代表なのよー。遣唐使だと思ってもらったらちょうどいい。謝肉祭使よ。さあ、存分にみせてくれ!世界で2位を誇る盛大なカーニバルを!私は、世界で何位かもわからないですが日本という国の仮装愛好家の代表です!
そんな気概で、本場のカーニバルでも臆する事なく渡り歩いた。
途中、いろんなゴースト達が話しかけてくれたし、私も話しかけた。「あなたのゴースト最高だね!」「君だってすごい素敵だ!」
仮装というものは、いつもよりも簡単に言葉の壁を超えさせてくれる。沢山の手作りゴースト達を見て、話して、笑って、鳴りものをカンカン叩いて歌った。「踊る阿呆に見る阿呆。同じ馬鹿ならおどりゃにゃそんそん・・」そしてよく歩いた。
スタートして2時間がたったころには、鳴りものを掲げて叩いていた腕がジンジンと痛みだしてあがらなくなってきた。途中、何度もタラリと無感覚にたれてくる鼻水をとなりのミイラ男の仮装のトイレットペーパーでぬぐった。パンダのかぶりものの重量で、首がもげそうな予感がしてきたところで。
「ここまで、よくやった。もう充分ではないか。」
なんだか大納得をして、夜通し続く幽霊行列を横目にケルン中央駅へと向かう。
駅について、重いパンダを脱いだ。
同時に、ぱあっと体から魔法のようなものが消えていくのが見えた。
コスチュームを脱いだら、蚊帳の外に出てしまった。
たったのコスチュームを脱いだだけで夢の外側へと。
町にすし詰めのように溢れる沢山の人々、その人達一人一人がその蚊帳のような夢の幕を作っていた。
私も、その一人になれたのかもしれない、1年に1回のほんの一瞬の間。
Carnival 2007
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